2014 年 54 巻 12 号 p. 1077-1079
筋強直性ジストロフィーの遺伝的原因は非翻訳領域におけるリピートの異常伸長である.本症の病態は,リピートの伸長したRNAが核内で蓄積し,スプライス因子の量・質の変化を惹起し,結果生じる多様なスプライス異常であることが判明した.この機序の各段階を標的として治療法開発が進行している.なかでもリピート伸長RNAを標的としたアンチセンス核酸治療がモデル動物で有効であったことから,米国で治験が開始されている.臨床試験にあたり,希少疾患の患者集積性に加え,本邦では既存治療の標準化・均てん化も問題であり,近日運用開始される患者登録の活用が期待される.