2014 年 54 巻 6 号 p. 507-510
症例は42歳男性である.2006年から禿頭があり,2009年に全身脱毛症に増悪した.近医でステロイド治療を受けていたが,改善しなかった.2011年左上肢の筋力低下が出現し,当院で非典型chronic inflammatory demyelinating polyradiculoneuropathy(多巣性脱髄性感覚運動型(multifocal acquired demyelinating sensory and motor neuropathy; MADSAM))と診断し,免疫グロブリン大量靜注療法(IVIg)を施行したところ筋力低下が改善した.その後も筋力低下の増悪をくりかえし,いずれもIVIg療法により筋力低下には改善がみられた.脱毛症にもIVIgは効果があり,両疾患で共通する自己免疫機序の関与が推定されたため報告する.