臨床神経学
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短報
MRIにて可逆性脳梁膨大部病変をみとめた風疹脳炎の1例
陣内 厚子菊池 朋子石川 元直西村 芳子柴田 興一佐倉 宏
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2014 年 54 巻 8 号 p. 668-670

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抄録

症例は26歳の男性である.四肢・体幹の発疹ののち,後頸部リンパ節腫脹,40°Cの発熱,頭痛,意識障害が出現し救急搬送された.血清,髄液の風疹IgM抗体が陽性で風疹脳炎と診断し,安静にて経過は良好で後遺症なく発症19病日後に退院した.MRI上,可逆性脳梁膨大部病変を有する脳症(clinically mild encephalitis/encephalopathy with a reversible splenial lesion)を呈し,感染により惹起された免疫学的な機序を介し,二次性に脳炎を発症したものと推測された.本例は2012年から2013年春にかけての風疹の大流行時に発症した成人風疹脳炎であるが,同時期のデータから推計すると,脳炎の発症率は従来の小児の報告にくらべて高く,あらためてワクチン接種の重要性が示唆された.

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© 2014 日本神経学会
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