臨床神経学
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症例報告
てんかん発作による純粋語聾の1例
四條 友望菅野 重範澁谷 聡及川 祟紀大沼 歩望月 廣
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2014 年 54 巻 9 号 p. 726-731

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抄録

症例は31歳の男性である.急に話し言葉が聞き取れなくなった.言語所見では話し言葉の聞き取りのみが困難であり,純粋語聾の臨床像を呈していた.頭部MRIでは左上側頭回後方から左縁上回にかけての皮質と皮質下に異常信号をみとめ,脳血流シンチグラフィーでは同部位に限局した血流増加をみとめた.脳波では左側頭部全体に波及する多棘徐波複合をみとめた.ミタゾラムの投与直後に脳波上てんかん波が消失し,話し言葉が聞き取れるようになり,てんかん部分発作によって純粋語聾を呈したものと考えられた.本例は左半球の機能低下のみで純粋語聾が生じえる可能性を支持するもので,言語音認知における左上側頭回後方領域と左縁上回の重要性を示唆した.

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© 2014 日本神経学会
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