2015 年 55 巻 1 号 p. 18-22
症例は65歳男性である.突然発症の左片麻痺を主訴に搬送され,急性期脳梗塞の診断でrecombinant tissue plasminogen activator(rt-PA)静注療法が施行されたが,症状の改善がなく緊急脳血管内血行再建術をおこなった.血栓吸引をおこない部分再開通をえたが,その後再閉塞をきたした.入院後,蛋白尿や低アルブミン血症の存在から腎生検をおこない,ALアミロイドーシスによるネフローゼ症候群と診断した.ネフローゼ症候群における血小板粘着能と凝集能亢進が,緊急脳血管内血行再建術中の閉塞血管再開通の阻害因子となった可能性があると考えられた.