2015 年 55 巻 12 号 p. 889-896
肺炎球菌性髄膜炎における脳梗塞合併には,血液凝固系の異常が注目されている.2006年から2013年に入院した肺炎球菌性髄膜炎10例で,発症3ヶ月後のGlasgow Outcome Scaleが4以下の予後不良群5例では良好群に比し,頭部MRIで大脳皮質やVirchow-Robin spacesに一致してdiffusion-weighted imageで高信号域を認め,同部位の病理所見で虚血性変化を認めた.血液検査では,thrombin-antithrombin complexが血小板数やD-dimerよりも両群間の差を鋭敏に反映する可能性があり,臨床的転帰を示唆する指標になりうると考えられた.