2016 年 56 巻 1 号 p. 32-36
症例は76歳男性.既往歴:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫.主訴:両側眼瞼下垂.来院時,両側眼瞼下垂,正中視で右眼球の軽度外側偏倚,左側方視時に右眼の軽度内転障害を認めたが,内眼筋麻痺やその他の眼球運動障害は認めなかった.MRIで中脳に異常信号を認め,同部位に一致してFDG-PETで異常集積を認めた.髄液細胞診で異型リンパ球を認め,悪性リンパ腫の中枢神経再発と診断した.本例の眼症状の責任病巣は両側のpartial fascicular oculomotor paresisと推定した.中脳病変による動眼神経麻痺の場合,眼瞼下垂が主で内眼筋・外眼筋麻痺を伴わない場合があり注意が必要である.