2016 年 56 巻 12 号 p. 857-861
症例は35歳男性.半年前に全般性痙攣発作を伴う意識消失にて救急搬送されBrugada症候群の疑いを指摘された.意識消失発作にて当科へ緊急受診した.診察中に共同偏視・左上肢の間代痙攣が生じ全身性強直発作へ移行し,約1分で回復した.脳波検査中に,発作性心室細動から心肺停止となり,除細動で洞調律に回復した後に痙攣重積となった.Brugada症候群と診断し,除細動器埋め込み術を施行.以後は抗てんかん薬を中止しているが発作の再発はみていない.Brugada症候群は心室性不整脈と突然死をきたす遺伝性心疾患であり,痙攣発作の診療においてはてんかんまたは不整脈の可能性の両者を念頭に置くことが重要である.