臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
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症例報告
不随意運動を主徴とし,両側大脳基底核病変を呈したビタミンB12欠乏症の1例
北村 泰佑後藤 聖司髙木 勇人喜友名 扶弥吉村 壮平藤井 健一郎
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2016 年 56 巻 7 号 p. 499-503

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抄録

患者は86歳女性である.入院1年前より認知機能低下を指摘され,入院2週間前より食思不振,幻視が出現し,意識障害をきたしたため入院した.四肢に舞踏病様の不随意運動を生じ,頭部MRI拡散強調画像で両側基底核は左右対称性に高信号を呈していた.血液検査ではビタミンB12値は測定下限(50 pg/ml)以下,総ホモシステイン値は著明に上昇,抗内因子抗体と抗胃壁細胞抗体はともに陽性であった.上部消化管内視鏡検査で萎縮性胃炎を認めたため,吸収障害によるビタミンB12欠乏性脳症と診断した.ビタミンB12欠乏症の成人例で,両側基底核病変をきたし,不随意運動を呈することはまれであり,貴重な症例と考え報告する.

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© 2016 日本神経学会
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