2016 年 56 巻 9 号 p. 622-626
症例は23歳女性.意識障害,痙攣発作で発症した.著明な高血圧があり,頭部MRIで両側基底核,脳梁,大脳白質および皮質に散在するT2高信号域がみられた.アンジオテンシンII受容体拮抗薬の投与により,血圧が正常化するとともに症状および画像所見が改善し,可逆性後部白質脳症症候群(posterior reversible encephalopathy syndrome; PRES)と診断した.血漿レニン活性が高値で右腎は高度に萎縮しており,腎静脈および副腎静脈のサンプリングの結果から右腎静脈狭窄による腎血管性高血圧と判断した.腹腔鏡下右腎摘出術が行われ,病理所見より線維筋性異形成(fibromuscular dysplasia; FMD)と診断された.若年発症の脳炎・脳症の鑑別として,FMDを背景としたPRESをあげる必要があると考えた.