臨床神経学
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症例報告
シャルコー・マリー・トゥース病に類似した三頭酵素欠損症の成人例
山本 雄貴松井 尚子平松 有宮崎 由道野寺 裕之和泉 唯信髙嶋 博梶 龍兒
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2017 年 57 巻 2 号 p. 82-87

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抄録

症例は60歳男性.小児期より運動後の筋疲労感や褐色尿を自覚したが症状は軽微であった.45歳頃より両下肢遠位部優位の筋萎縮,感覚障害が進行した.神経伝導検査で軸索型末梢神経障害を呈し,シャルコー・マリー・トゥース病(Charcot-Marie-Tooth disease; CMT)が疑われた.55歳より横紋筋融解症を繰り返すようになり,血清アシルカルニチン分析と遺伝子検査から三頭酵素欠損症と診断した.三頭酵素欠損症は先天性脂質代謝異常症の稀な一型であるが,末梢神経障害を合併してCMTに類似した臨床所見を呈しうる.筋症状を伴う進行性の末梢神経障害をみた場合,積極的に本疾患を疑って精査すべきである.

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© 2017 日本神経学会
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