2017 年 57 巻 3 号 p. 118-123
症例は49歳女性.スタチン内服歴なし.3ヶ月前から進行性の四肢筋力低下,嚥下障害が出現した.血清CK 13,565 IU/lと高値であり,筋病理では壊死性ミオパチーの所見がみられ,抗3-hydroxy-3-methylglutaryl-coenzyme A reductase(HMGCR)抗体が陽性であった.リンパ節転移を伴う進行胃癌の合併をみとめ,根治手術をおこなったが,症状は進行し独歩不能となった.ステロイド治療では症状の改善はえられなかったが,免疫グロブリン大量療法にて筋力・嚥下機能の著明な改善をみとめた.抗HMGCR抗体陽性壊死性ミオパチーでは,腫瘍の合併に留意する必要があり,腫瘍摘出およびステロイド治療で改善がえられないばあい,免疫グロブリン大量療法が治療選択肢となりうる.