臨床神経学
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短報
腕頭動脈塞栓と右中大脳動脈塞栓をきたし抗凝固療法で再開通した心原性脳塞栓症の1例
佐木山 裕史山本 司郎村上 泰隆玄 富翰永野 恵子橋川 一雄
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2017 年 57 巻 7 号 p. 391-394

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抄録

症例は80歳の女性.1ヶ月前に大動脈弁置換術を受け,発作性心房細動がありワルファリン内服中であった.某日,意識障害,左片麻痺を発症し,来院時,右橈骨動脈の触知減弱を認めた.頭部MRI拡散強調画像では右中大脳動脈領域に高信号域があり,MRAでは右M1遠位閉塞,右内頸動脈の信号低下を認めた.胸部造影CTでは腕頭動脈閉塞があり,心原性塞栓子による腕頭動脈塞栓および右M1遠位塞栓と診断した.ヘパリンとワルファリンによる抗凝固療法を行い,症状は徐々に改善し,右中大脳動脈,腕頭動脈は再開通した.右橈骨動脈触知減弱の際には,胸部大動脈解離のみならず心原性塞栓子による腕頭動脈塞栓症も念頭に置く必要がある.

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© 2017 日本神経学会
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