2017 年 57 巻 8 号 p. 454-456
症例は68歳男性である.右片麻痺を主訴に来院し,MRI拡散強調画像で左放線冠に超急性期の脳梗塞を認めた.NIHSSは7点,recombinant tissue plasminogen activator(rt-PA)の禁忌項目はなく発症後1時間40分で静注療法を施行した.治療開始90分後に右被殻に,150分後に左被殻に脳出血が確認された.以降は高度の意識障害が残存した.入院後は尿蛋白陽性,血尿を認め,MPO-ANCAの上昇を認めたことからANCA関連血管炎と診断した.ANCA関連血管炎は稀に脳梗塞の原因となり得るが出血の可能性も高く,rt-PA静注療法には慎重な態度が望まれる.