2017 年 57 巻 9 号 p. 509-514
症例は28歳男性.痙攣発作を契機に頭部MRIで脳内多発性病変を指摘された.ステロイドパルス療法4回,血漿交換療法5回を実施したが症状や画像所見は急速に増悪した.この間,開頭脳生検を行い病理所見から細小動脈を主体とする血管炎を認めた.炎症反応や各種自己抗体を欠き,中枢神経系血管炎(central nervous system vasculitis; CNSV)と診断し,シクロフォスファミド投与にて改善を得た.CNSVの確定診断に病理所見は有用で積極的な脳生検が重要と思われた.また本例では脳組織PCR検査でヒトヘルペスウイルス7(human herpesvirus 7; HHV-7)が陽性であった.本疾患発症との関連は不明だが,今後の同様の症例の蓄積・検討が望まれる.