2018 年 58 巻 1 号 p. 9-14
症例は74歳男性,既往に徐脈性心房細動あり,ワルファリン内服中に脳梗塞を再発,入院時PT-INR 2.08であった.経食道心エコーで左心耳血栓を認めヘパリンとワルファリンで加療したが,第11病日に血栓は増大しアピキサバン10 mg/日とヘパリンの併用に変更した.第17病日に出血性梗塞あり,出血安定後にワルファリンを再開するも,PT-INR 2~3では血栓が縮小せず最終的にPT-INR 3~4で第110病日に左心耳血栓は消失した.相対的出血リスクが高いPT-INRを要したため,その後胸腔鏡下左心耳切除術を行い現在まで再発はない.左心耳血栓の抗凝固療法に難渋した1例であり,文献的考察を加え報告する.