2018 年 58 巻 10 号 p. 617-621
症例は57歳女性.33年間左半身の異常感覚による不眠があった.初診の前年から頻度が増加し,右下肢にも症状が出現するようになった.娘は20歳からレストレスレッグス症候群(restless legs syndrome; RLS)がある.神経学的所見に異常はなかった.血液検査では腎機能は正常で鉄欠乏や貧血はなかった.RLSと診断しプラミペキソール低用量にて良好な治療効果が得られていた.初診から1年後に右肩痛が出現し,その半年後に,右手の振戦が出現した.臨床症状,ドパミントランスポータースキャンおよび123I-MIBG心筋シンチグラフィー検査結果からパーキンソン病(Parkinson’s disease; PD)と診断した.RLS症状の拡大や頻度増加時にはPDの早期徴候の可能性を考慮する必要がある.