臨床神経学
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症例報告
皮膚粘膜眼症状に先行して神経症状を呈した慢性進行型神経ベーチェット病の1例
渡部 真志小林 麗長谷川 貴一横井 俊介岡田 久奥田 聡
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2018 年 58 巻 2 号 p. 105-110

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抄録

症例は喫煙歴のある77歳男性.12年前から繰り返す回転性眩暈と抑うつ症状が出現した.5年前から徐々に動作緩慢となり,ここ半年で3度目の転倒をして脳震盪疑いで入院した.小脳性運動失調症と球症状が認められた.頭部MRIで小脳と脳幹の萎縮が見られ,123I-IMP SPECTで小脳の血流低下を認めた.血液検査で軽度の炎症反応を認め,HLA-B51が陽性であった.髄液検査で無菌性髄膜炎と髄液IL-6高値が判明した.総合的に慢性進行型神経ベーチェット病を最も疑った.治療開始1ヶ月後に皮膚粘膜症状が現れ,ベーチェット病に矛盾のない皮膚病理所見を得た.診断にHLA-B51と髄液IL-6が有用な可能性がある.

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© 2018 日本神経学会
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