2018 年 58 巻 3 号 p. 182-187
症例は14歳,女性.眼神経(左三叉神経第1枝)領域に帯状疱疹を発症し,バラシクロビルによる加療で改善した.その4ヶ月後に一過性の頭痛,意識障害,構音障害,右上肢麻痺を生じた.頭部単純MRIで左中大脳動脈領域に多発する急性期脳梗塞を認め,頭部造影MRIで狭窄部位に一致して血管壁に造影剤の集積が認められた.髄液検査で水痘-帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus; VZV)IgG陽性であり,VZV抗体価指数も高値であったため,水痘-帯状疱疹血管症(VZV vasculopathy)と診断した.VZVは若年性脳梗塞と関連が深いことが報告されており,診断には脳脊髄液中抗体価指数および造影MRIが有用と考えられた.