臨床神経学
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症例報告
3年の経過で認知症と画像所見の進行が解離したcysteine-sparing NOTCH3 mutationのCADASIL:症例報告
立山 佳祐志賀 裕二下江 豊水田 依久子水野 敏樹栗山 勝
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2018 年 58 巻 4 号 p. 235-240

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抄録

症例は55歳の男性.頭痛や脳卒中の既往なく,2年前から物忘れとうつ症状で発症.認知症,両側錐体路徴候を示し,脳MRIで深部大脳白質,皮質下,脳幹に多発性ラクナ梗塞(Lacunar infarction; LAI),多数の微小出血,大脳白質に広範な高信号病変を認めた.側頭極白質の変化は認めず,両側の基底核領域の脳血流が低下していた.NOTCH3遺伝子の第75アミノ酸がアルギニンからプロリンへのシステインが関与しない変異を認めた.塩酸ロメリジンを3年間投与したが,認知症は進行し,大脳萎縮も進行した.LAI,微小出血,大脳白質病変の進行は軽度で,脳血流はむしろ増加した.本症の認知症は大脳皮質の病態が関与する可能性がある.

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© 2018 日本神経学会
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