臨床神経学
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症例報告
好酸球増多を契機に多発脳出血をきたした好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例
山田 友美安藤 昭一朗梅田 能生梅田 麻衣子小宅 睦郎藤田 信也
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2018 年 58 巻 9 号 p. 565-569

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抄録

症例は,喘息の既往がある42歳女性である.感覚優位の多発性単神経障害で入院したが,好酸球増多(761/μl)は軽度で,神経生検で血管炎の所見は明らかではなかった.4ヵ月後,急激な好酸球増多(3,257/μl)を契機に,右上下肢の痙攣と意識障害をきたし再入院となった.頭部MRIで左頭頂葉の皮質下出血と多発する微小脳出血を認め,また小梗塞も多発していた.好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis; EGPA)と診断して免疫療法を行い,良好な経過を得た.EGPAに血管炎を背景とした虚血性脳血管障害を合併することは知られているが,本例は,好酸球の急激な増加を契機に多発性の皮質下脳出血をきたした貴重な症例と考え報告する.

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© 2018 日本神経学会
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