2019 年 59 巻 4 号 p. 195-199
症例は,73歳女性.十二指腸乳頭部癌の末期で外来通院中,突然の右片麻痺で救急搬送された.頭部MRIで,左中大脳動脈領域に拡散低下を認め,MRAで左内頸動脈はサイフォン部までしか描出されなかった.血小板数が低値で,血栓溶解療法の禁忌に該当したため,血栓回収療法を行った.血栓吸引を試みるも,有効再開通を得られなかった.その後,多臓器不全に至り死亡した.病理では,僧帽弁に血小板主体の白色血栓が付着し,非細菌性血栓性心内膜炎からの脳塞栓症と診断した.非細菌性血栓性心内膜炎による脳梗塞では,白色血栓であることが多く,硬いことが予想され,この点を考慮しデバイスを選択する必要がある.