2019 年 59 巻 5 号 p. 253-257
69歳男性.約1か月の経過で下肢近位筋筋力低下が亜急性に出現した.中心性肥満,水牛様肩を認め,針筋電図,筋MRI,CPK値は異常なく,高血圧や糖尿病はなかった.ACTHと尿中コルチゾール上昇,デキサメサゾン抑制試験,CRH試験,海綿静脈洞サンプリング陽性から,MRIで認めた微小下垂体腫瘤によるCushing病と診断した.一方,女性化乳房,テストステロン低値,LH・FSH上昇,陰囊・陰茎の萎縮あり,染色体検査でモザイク型Klinefelter症候群の合併が確認された.同疾患によるテストステロン低下が軽症Cushing病による糖質コルチコイド上昇で増悪し,筋力低下が亜急性に出現したと考えられた.