2019 年 59 巻 7 号 p. 431-435
症例は,53歳男性.肺扁平上皮癌に対しニボルマブ投与を開始して約1ヶ月後に,日内変動を伴う眼瞼下垂や球症状などの重症筋無力症(myasthenia gravis; MG)症状と高CK血症(5,266 IU/l)をきたし,免疫関連有害事象(immune-related adverse event; irAE)と診断した.抗AChR抗体は陰性で,四肢筋力低下はなかったが,抗横紋筋抗体の抗titin抗体が陽性で,筋生検で筋線維の壊死と再生,炎症細胞浸潤を伴う壊死性ミオパチーの所見を認めた.ステロイド治療で速やかにCKは正常化し,症状も寛解した.神経系のirAEではMG症状で発症する筋炎が報告されているが,本症例は抗横紋筋抗体陽性で,筋生検でミオパチーの存在を確認した貴重な症例である.