臨床神経学
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症例報告
持続する嘔気・繰り返す失神で発症した視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder)の1例
遠藤 芳徳林 浩嗣井川 正道山村 修大倉 清孝濱野 忠則
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2020 年 60 巻 2 号 p. 142-145

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抄録

症例は22歳の女性である.持続する嘔気を繰り返したため入院した.入院後,失神発作を繰り返し,発作性洞停止を認めた.体外ペーシング挿入後,失神発作は消失したが,回転性めまい,眼振,複視,四肢異常感覚が新たに出現した.MRIでは延髄背側に異常信号をみとめた.血清中抗アクアポリン4抗体が陽性であり,視神経脊髄炎関連疾患(neuromyelitis optica spectrum disorder; NMOSD)と診断確定した.ステロイドパルス療法を2クール施行したところ,症状は改善した.以上より今回の洞停止はNMOSDの最後野症候群の一つの症状と考えられた.発作性洞停止の原因としてNMOSDの可能性も考慮すべきである.

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© 2020 日本神経学会
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