2020 年 60 巻 2 号 p. 157-161
インフルエンザ脳症はインフルエンザ感染に続発し高熱,意識障害を主徴とする症候群である.我々は今回インフルエンザ感染後に両側視床に出血性病変を認めた急性壊死性脳症2成人例(症例1,糖尿病のある70歳女性;症例2,多発性骨髄腫のある49歳女性)を経験した.症例1は発熱,痙攣重積,意識障害で発症しインフルエンザA型陽性,症例2は発熱,傾眠で発症しインフルエンザB型が陽性であった.2例共に急性期は人工呼吸器管理を要し,抗インフルエンザ薬,ステロイド剤,免疫グロブリンで加療を行ったが高次脳機能障害が残存した.当疾患を疑った場合は早期からの集約的治療介入が重要である.