臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
短報
橋病変が脱力発作と半側顔面けいれん発作に関与したと診断した難治てんかん発作の1例
十河 正弥井内 盛遠松本 理器澤本 伸克池田 昭夫髙橋 良輔
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 60 巻 5 号 p. 362-366

詳細
抄録

症例は35歳女性.1歳時に橋病変に対し切除術,放射線療法を施行.23歳時に頸部,体幹の脱力発作と左顔面のけいれん発作が出現した.発作時脳波,筋電図記録では全般性鋭波に後続し,左口輪筋の収縮,頸部伸筋群の脱力を認め,中心脳から始まり大脳皮質,顔面神経核,脳幹網様体の順に発作発射が伝播したと考えた.脳波-機能的MRI同時計測での全般性鋭波に関連したblood oxygen level-dependent効果は全般発作の既報告と同様の両側前頭頭頂葉の信号低下に加え,脳幹病変近傍でも信号上昇を認め,同部位がてんかんネットワークの一部であることを示唆した.てんかん発作は稀に脳幹病変が発作起始に関与することがある.

著者関連情報
© 2020 日本神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top