2021 年 61 巻 2 号 p. 140-143
症例は53歳男性で,嗅覚消失を認めた後PCR検査でcoronavirus disease 2019(COVID-19)と診断され当科に入院した.発熱なく呼吸症状は咽頭痛のみでCTで肺炎像を認めなかった.入院時,the odor stick identification test for Japanese(OSIT-J)で1点と低下を認めたが,入院16日目に11点まで改善.呼吸症状悪化なく退院した.COVID-19は嗅覚障害以外の症状を呈さない場合があり,嗅覚検査が診断の契機となりうる.OSIT-Jは,本例において初期の点数低下と回復過程を確認し得たことから,診断の一助となる可能性が考えられた.