2021 年 61 巻 4 号 p. 243-246
症例は71歳女性.II型呼吸不全の原因精査のため当科に入院した.60歳代後半から体幹の筋力低下に気づいていたが,日常生活は自立していた.両親がいとこ婚で姉に類症があり,傍脊柱筋,大腿屈筋と縫工筋に選択的な筋萎縮を認めた.筋生検では筋障害は軽度であったが,遺伝子解析でSELENON(SEPN1)遺伝子に未報告のホモ接合型バリアント(c.227T>C p.Phe76Ser)を認めた.Selenoprotein関連ミオパチーは,幼少期までに発症することがほとんどで,本症例は呼吸不全で顕在化した高齢発症の初めての報告である.