2023 年 63 巻 9 号 p. 566-571
症例は69歳男性.5歳時より歩行困難を認め,13歳頃より杖歩行,17歳頃より車椅子生活となった.他院でシャルコー・マリー・トゥース病と診断されたが,遺伝子検査や神経生検は施行されなかった.54歳時当科初診.以降も四肢遠位筋の筋力低下や感覚障害が緩徐に進行し,60歳時の遺伝子検査でGAN新規変異(c.1478A>C, p.E493A)を認めた.臨床的には巨大軸索ニューロパチー(giant axonal neuropathy,以下GANと略記)の典型例とは異なり,知的能力は保たれ,縮れ毛はなく,61歳以降は声帯麻痺や自律神経障害を併発し,過去の報告よりGANの軽症例と診断した.