2024 年 64 巻 10 号 p. 742-745
慢性骨髄単球性白血病(chronic myelomonocytic leukemia,以下CMMLと略記)の既往のある67歳女性.頭痛,複視及び右耳難聴あり受診した.左眼球運動障害及び右感音難聴を認め頭部造影MRI,髄液所見から肥厚性硬膜炎を疑った.特異的な原因は認められず,CMMLに合併する自己免疫/炎症性疾患(systemic autoimmune/inflammatory disorder,以下SAIDと略記)としての肥厚性硬膜炎と判断した.ステロイド及びシクロホスファミド投与により症状は軽快した.CMMLや骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes: MDS)に合併するSAIDとしては全身性血管炎や好中球性皮膚症様の病態が知られる.CMMLに合併する肥厚性硬膜炎の報告は過去になく,CMMLに随伴するSAIDとして中枢症状も起こし得ることを示す貴重な症例と考え報告する.