2024 年 64 巻 7 号 p. 453-459
側頭葉てんかんは,様々な認知機能障害を呈することが知られている.その中でも記憶障害は,患者の訴えとしても多い.記憶障害には,神経心理検査で異常を認めるような海馬性健忘と呼ばれるものと,一般的な検査で異常を検出できないような,加速的長期健忘や自伝的記憶障害などがある.記憶障害には脳の構造的異常や発作間欠期てんかん性放電,薬剤や心理状態などが複合的に関与していると考えられている.根本的な治療法は乏しいが,環境整備やリハビリテーションなど介入する余地もある.本総説では,側頭葉てんかんに見られる記憶障害のタイプと病態,介入方法に関して概説する.