臨床神経学
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脱髄性末梢神経障害をきたし,ステロイド治療が奏効した慢性natural killer細胞増多症の67歳女性例
佐野 宏徳前田 敏彦尾本 雅俊小笠原 淳一古賀 道明川井 元晴神田 隆
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論文ID: cn-001064

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抄録

症例は67歳女性.3ヶ月の経過で四肢筋力低下とじんじん感が進行した.四肢遠位優位の筋力低下,右正中・右脛骨神経領域の触・痛覚低下がみられた.末梢血中natural killer(NK)細胞の著明な増多と末梢神経伝導検査での脱髄所見があり,腓腹神経生検では有髄神経線維密度は保たれていたが神経束間で菲薄化した髄鞘をもつ神経線維密度に著明な差異が観察された.神経内鞘内にCD16陽性リンパ球をみとめ慢性NK細胞増多症による脱髄性末梢神経障害と診断した.ステロイド治療でNK細胞数は速やかに減少し,運動・感覚障害と電気生理学的脱髄所見が著明に改善した.病理組織所見と治療効果から神経内鞘内へ浸潤したNK細胞が脱髄をきたす主要因と考えた.

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