臨床神経学
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非失語性呼称障害:自験例報告および文献的考察
稲富 雄一郎松田 実水田 秀子
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論文ID: cn-001545

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抄録

71歳,女性,右利き.突然の会話困難で発症した.入院時,覚醒は良好であったが,多幸的であり,失見当識,近時記憶障害,病態否認を認めた.発話は流暢で復唱や単語理解は良好であり,視覚性呼称障害も軽微であった.一方,喚語障害,無関連錯語を認め,語流暢性課題時や自由会話,特に病院で激昂した場面の説明で顕著となる状況依存性を伴っていた.MRIでは左視床灰白隆起動脈領域に梗塞巣を認めた.SPECTでは左視床,前頭葉眼窩部,内側部,側頭葉内側部に集積低下を認めた.本例は非失語性呼称障害であると診断した.同症候の既報告例では喚語障害と無関連錯語に加え,情動障害,病態否認のいずれかが併存していた.

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