臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
Print ISSN : 0009-918X
ISSN-L : 0009-918X
ウェルニッケ脳症と鑑別が問題になったメトロニダゾール誘発性脳症の1例
小西 貴之植村 順一山下 眞史森 仁井上 剛黒川 勝己
著者情報
ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: cn-001972

詳細
抄録

患者は76歳男性.X−3ヵ月に腸腰筋膿瘍と診断され,メトロニダゾールを投与されていた.呂律困難,歩行時ふらつきを主訴に来院した.神経学的所見では構音障害,眼振,起立・歩行障害などの小脳性運動失調を認め,頭部MRI FLAIR画像で小脳歯状核,中脳赤核・中脳水道周囲,第三脳室周囲および脳梁膨大部に両側対称性の高信号を認めた.画像所見からウェルニッケ脳症との鑑別を要したが,チアミンは正常値で,メトロニタゾール中止後に症状が速やかに改善し,FLAIR画像の高信号が消失したことから,メトロニダゾール誘発性脳症と診断した.中脳赤核病変を認める場合,メトロニダゾール誘発性脳症を第一に考えるべきである.

著者関連情報
© 2024 日本神経学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top