論文ID: cn-001972
患者は76歳男性.X−3ヵ月に腸腰筋膿瘍と診断され,メトロニダゾールを投与されていた.呂律困難,歩行時ふらつきを主訴に来院した.神経学的所見では構音障害,眼振,起立・歩行障害などの小脳性運動失調を認め,頭部MRI FLAIR画像で小脳歯状核,中脳赤核・中脳水道周囲,第三脳室周囲および脳梁膨大部に両側対称性の高信号を認めた.画像所見からウェルニッケ脳症との鑑別を要したが,チアミンは正常値で,メトロニタゾール中止後に症状が速やかに改善し,FLAIR画像の高信号が消失したことから,メトロニダゾール誘発性脳症と診断した.中脳赤核病変を認める場合,メトロニダゾール誘発性脳症を第一に考えるべきである.