臨床神経学
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ドネペジル塩酸塩投与後に著明な首下がりをきたしたパーキンソン病の1例
原 啓介三浦 叡人梅田 能生梅田 麻衣子小宅 睦郎藤田 信也
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: cn-001983

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抄録

症例は76歳女性.2年前からパーキンソン病(Parkinson’s disease,以下PDと略記)の診断で外来通院していたが,ドネペジル塩酸塩(donepezil hydrochloride,以下DNPと略記)3 ‍mg/日の開始数日後から著明な首下がりを自覚した.症状は日毎に増悪し,約1か月で体幹から90°の首下がりとなった.頸部伸筋群の筋力低下はなく,頸部MRIで異常所見を認めなかった.表面筋電図で頸部伸筋・屈筋群の共収縮を認めた.DNPを中止した日から首下がりの改善を自覚し,2か月で寛解した.PDの経過中に首下がりをきたすことは,しばしば経験するが,DNPによる首下がりの報告は少ない.PDの首下がりの中にDNPによる薬剤性ジストニアが見過ごされている可能性もあり注意が必要である.

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