論文ID: cn-001984
症例は67歳男性.右下口唇のしびれ感を主訴に救急外来を受診.神経学的には右下口唇からオトガイ部の異常感覚を認めるのみで,numb chin症候群を呈していた.頭部MRIにて左中心後回に小さな急性期梗塞を認め,MRAでは頭蓋内主幹動脈に狭窄を認めず,頸動脈エコーにて左頸動脈分岐部に不安定プラークを認め,動脈原性塞栓症が疑われた.内科的治療で第7病日には症状は消失.Numb chin症候群を呈した脳梗塞例は,視床のラクナ梗塞の報告があるのみであり,中心後回梗塞によるものは検索した限りでは本例が最初である.Numb chin症候群でも末梢性のオトガイ神経病変以外に中心後回病変も考慮する必要がある.