臨床神経学
Online ISSN : 1882-0654
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血清ビタミンB12の異常な上昇がありながら,悪性貧血と亜急性脊髄連合変性症と診断しえた1例
平形 寿顕石井 義人吉田 環田中 章景中江 啓晴
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: cn-002023

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抄録

患者は86歳男性で,両手のしびれが出現した6か月後に汎血球減少を認め,骨髄穿刺で骨髄異形成症候群と診断された.血清ビタミンB12は高値だったが,血清ホモシステイン高値,抗内因子抗体陽性,脊髄MRIでのT2強調画像高信号病変より,亜急性脊髄連合変性症と診断した.メコバラミン筋肉注射で汎血球減少は改善しMRI病変は消失した.本例の汎血球減少の原因は悪性貧血と考えられた.血清ビタミンB12は抗内因子抗体の存在により正常または偽高値を呈しうる.汎血球減少患者がしびれを訴えた場合,血清ビタミンB12の低下がなくても悪性貧血と亜急性脊髄連合変性症を疑い血清ホモシステインと抗内因子抗体を測定すべきである.

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