漢字優位の失書で発症し，静的動的視野解離（Riddoch現象）を認めたposterior cortical atrophyの1例

抄録

52歳女性．50歳時に漢字優位の失書で発症し，失算，左右識別障害，手指失認，構成障害，同時失認を認めた．Goldmann視野に異常はなかったがHumphrey視野検査で右同名性半盲があり，静的動的視野解離（Riddoch現象）が検出された．頭部MRIで左頭頂葉の萎縮，^99mTC-ECD single photon emission computed tomography（SPECT）で左半球優位，特に左頭頂葉の血流低下を認め，posterior cortical atrophy（PCA）と診断した．PCAでは神経眼科的にHumphrey視野検査を行い同名性半盲を確認すること，石原式色覚検査では文字を読むことができないため，パネルD-15検査を行うことが重要である．