論文ID: cn-002047
水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus,以下VZVと略記)の罹患が認知症発症の危険因子であるかを検証する目的で,選択基準を満たした21文献によるスコーピングレビューを行った.VZVの罹患は認知症発症率を増加するというメタ解析を1編認めたものの,否定するメタ解析も1編認めた.眼部や中枢神経への感染に伴う認知症発症率の増加を示した報告が複数存在した.またVZVワクチン接種による認知症発症率の低下を示したメタ解析を1編認めた.以上よりVZVの罹患が認知症の危険因子となる可能性が示唆されるが,後方視的コホート研究が主体であったことから,今後,前方視的コホート研究やワクチン接種や抗ウイルス薬の効果を検証する臨床試験が必要である.