論文ID: cn-002053
33歳男性.約7か月の経過で進行する左手首関節と手指の伸展不良を認めた.当初,後骨間神経麻痺が疑われたが,神経伝導検査で橈骨神経の上腕と肘間で伝導ブロック,超音波検査で同部位に腫大を認め,抗GM1 IgM抗体が陽性であった.橈骨神経に限局するpossible multifocal motor neuropathy(MMN)と診断し,免疫グロブリンで加療し筋力の改善を得た.MMNは感覚障害を伴わず多巣性に運動神経障害を来すが,単一神経に限局して生じた際,possible MMNと診断される.原因不明の後骨間神経麻痺では鑑別として考慮する必要があり,超音波検査が診断に有用である可能性が示唆された.