脳梗塞連続2,915例から脳塞栓は34.7%に認められ,塞栓症全体の88.3%で塞栓源を同定した.持続性心房細動(continuous atrial fibrillation: cAf)が塞栓症の約半数を占め,入院時原因不明で入院中精査を行った366例中,発作性心房細動(paroxysmal Af,以下pAfと略記)が45.9%,奇異性塞栓(paradoxical embolism,以下PxEと略記)が13.6%,大動脈原性塞栓(aorto-embolism,以下AoEと略記)が12.5%であった.内頸動脈,中大脳動脈M1,M2など大径の血管閉塞はAf関連が多く,線条体内包梗塞はPxE,散在性多発性小梗塞は,AoE次いでPxEで多かった.後方循環系では,上小脳動脈はpAfが,後下小脳動脈はPxEが多い傾向にあった.栓子の構成成分と血管走行・分枝など流体力学が梗塞病巣を決めると考えられた.