論文ID: cn-002064
54歳男性.半年前から進行する下肢のしびれと筋力低下を主訴に受診.血清M蛋白陽性,血清VEGF上昇,脾腫からPOEMS症候群と診断.頭部MRIで分水嶺領域多発脳梗塞を認め,MRAで右ICAの完全閉塞と左CCAの高度狭窄を認めた.ダラツムマブ-ボルテゾミブ-デキサメタゾン(DBd)療法後にVEGFの正常化を確認し右STA-MCAバイパス術を施行.術中の右浅側頭動脈生検で内膜・中膜の肥厚を認めた.術後はダラツムマブ-レナリドミド-デキサメタゾン(DLd)療法に変更しVEGF正常化と下肢筋力と歩行機能の改善を維持している.POEMS症候群では症状出現前早期から血管障害が進行している可能性があるため,本症と診断した際には治療前の頭頸部血管の十分な評価が治療選択・リスク評価の点で重要である.