論文ID: cn-002084
症例は78歳男性.異常行動が出現した2週間後に,右上肢の強直間代発作と意識障害を生じた.頭部MRIおよび脳脊髄液所見は当初正常であったが,第5病日に左前頭葉底部・線条体・島皮質に拡散強調画像で高信号域を認め,第12病日に左線条体にT1強調画像で高信号域が出現した.症状は免疫治療を行う前に概ね改善した.MRI所見の経時的変化からleucine-rich glioma-inactivated 1(LGI1)抗体脳炎を疑い,血清LGI1抗体陽性を認めて診断した.基底細胞癌を合併していた.大脳基底核のT1強調画像における高信号域はLGI1抗体脳炎に特徴的であり,診断の重要な手がかりとなる.