臨床神経学
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当初無菌性髄膜炎と診断したリンパ球性下垂体炎の1例
三浦 叡人小松原 宇蘭梅田 能生赤壁 尚太藤田 信也 小宅 睦郎
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: cn-002098

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抄録

症例は57歳男性.頭痛と発熱が出現し,単核球優位の髄液細胞増多があり,無菌性髄膜炎と診断された.1か月後より再増悪し,無気力もめだつようになった.下垂体機能低下症を疑わせる電解質異常や血清CK上昇はなかったが,頭部MRIで下垂体から下垂体茎の腫大と均一な造影効果を認めた.内分泌試験では汎下垂体機能低下を認め,下垂体炎をきたすサルコイドーシスや梅毒,結核,シェーグレン症候群,全身性エリテマトーデスは否定され,臨床的にリンパ球性下垂体炎と診断した.ホルモン補充療法で症状は速やかに改善し,下垂体の腫大も消失した.一般血液検査の異常を認めず無菌性髄膜炎で発症した下垂体炎で,教訓的な症例と考えられた.

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