論文ID: cn-002099
症例は70歳代女性,2021年3月上旬から腰痛,左下肢痛が出現,3月末に尿閉,両下肢麻痺が出現し入院した.MRIで脊髄円錐部の腫脹,リング状造影効果・馬尾神経の造影効果を認めた.脊髄円錐部はDWIで多房状高信号を示した.脳脊髄液は,細胞271/mm3(多形核球72%),蛋白356 mg/dl,糖15 mg/dlであった.細菌性髄内脊髄膿瘍・馬尾神経炎を疑い,セフトリアキソン・バンコマイシン点滴静注,メトロニダゾール内服を開始した.以後,神経症状,検査所見は徐々に改善した.脊髄髄内膿瘍は,髄内病変を示す脊髄疾患の鑑別診断上,重要な疾患であり,的確な診断・治療が予後を大きく左右する.