論文ID: cn-002102
自己免疫性脳炎(autoimmune encephalitis,以下AEと略記)の診断基準は,Grausら(2016)から提唱されている.AEの最近の学問的および臨床研究的動向として,1)臨床像の広がり,2)誤診の留意点と誤診のリスク要因,および3)難治例と症候性てんかんの治療動向が挙げられる.1)Autoimmune psychosisの存在,成人発症の側頭葉てんかんにおけるAEの存在,進行性認知症を呈するAEの存在が挙げられる.2)抗体陰性例に対する診断基準の不適切な使用が指摘されている.AEは,広範な鑑別が必要で,他疾患を示唆する要因として,遷延性発症経過,非特異的な血清での神経抗体陽性,および診断基準を満たされないが挙げられる.3)難治例の治療動向として,tocilizumabとbortezomibが挙げられる.一方,症候性てんかんには,lacosamideやperampanelが有用である可能性がある.これら動向を自験例も含め示す.