臨床神経学
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生体腎移植後に発症した急速進行型HTLV-I関連脊髄症の1例
梅原 藤雄
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ジャーナル オープンアクセス 早期公開

論文ID: cn-002119

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抄録

症例 40歳代男性.末期腎不全のため,2019年9月に抗HTLV-I抗体陽性の母親から,抗HTLV-I抗体陰性であった本例への生体腎移植が施行された.2021年3月から下肢筋力低下が進行し,9月に入院した.痙性対麻痺のために起立・歩行不能であった.脊髄MRI T2強調画像で頸髄から胸髄まで連続する高信号・脊髄腫脹を認めた.血清・髄液抗HTLV-I抗体は陽性であった.急速進行型HTLV-I関連脊髄症(HTLV-1 associated myelopathy,以下HAMと略記)と診断した.HTLV-I陽性ドナーから陰性レシピエントへの生体腎移植は,HAM発症リスクが高いことが既に指摘されていたにも関わらず,本例で腎移植がなされていた点が問題で,原因を考察した.

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