論文ID: cn-002142
症例は69歳男性.主訴は痙攣.右鼠経ヘルニア・絞扼性腸閉塞の術後9日目,強直性痙攣が出現した.同日,呼吸状態が悪化し人工呼吸器管理となった.術後10日目に当科初診.初診時,体幹部・下肢の強直性痙攣を認めた.痙攣は音などの外的刺激により誘発された.挿管時に開口障害があったことを確認し,破傷風と診断.抗破傷風ヒト免疫グロブリンとメトロニダゾール静注を開始し,症状は改善した.破傷風菌は主に土壌中に存在しているが,ヒト糞便内にも存在している.このため,まれに消化管手術後に破傷風が生じることがある.内在性破傷風菌が,破傷風の発症要因になりうることに注意が必要である.