抄録
Posterior Cortical Atrophy (PCA)の初期症状は進行性失語や行動異常型前頭側頭型認知症など他の変性疾患と比較して捉えにくく、見逃されることが少なくない。しかし、PCAを有する患者は社会生活や日常生活上で大きな問題を呈している。本論ではPCAの初期症状を明らかにするため、まず自験7例での初期症状を詳細に調べ、その後過去の症例報告70例から初期症状についてレビューを行った。その結果、視空間障害に関連する症状が7割以上の例に認められた。読み、運転、着衣の障害も多く報告されているが、視空間障害を背景とする可能性が高かった。その他、視覚失認に関連する症状、失書、失算、視覚自体に関する症状が初期症状として認められた。これらの結果から、PCAの初期症状は視空間障害が最も基本的な症状であり、視空間障害のために社会生活や日常生活全般(整理や片づけ、ものを探すこと、運転、読字、着衣、料理、食事動作、機械操作など)に障害が大きく及んでいることが明らかとなった。